2026/06/19 10:23
「さ・り・と・は・おもしろい」何故だろう。急にこの言葉が頭に浮かんだ。
皆さん、こんにちは大阪の鯨屋、奥野水産4代目:奥野良二です。
こんなおまじないか呪文の様な言葉、聞いた事がありますか。
これは中央卸売市場の仲買人が使う、1~9の数字を文字変換し言葉で伝え関係者以外には
仕入価格を知られない様にした「符丁」と言うものです。
毎日、セリで売られる生鮮品は買付相場が変動します、つまり毎日仕入価格が変わります。
参加資格を持つセリ人以外は買付出来ない為、その日の仕入価格を店の従業員に周知させる必要があります。
但し、お客さんの居る前で大きな声で仕入価格、「商売の肝」を言う訳にはいけません。
そこで、お客さんの耳に入ってもそれが数字である事を悟られない様にする必要があったのです。
そこで生まれたのが
「さ➡1、り➡2、と➡3、は➡4、お➡5、も➡6、し➡7、ろ➡8、い➡9」
いわゆる言葉の「符丁」。
「今日は、これさーとーやから」となれば、この場合「さ➡1、と➡3」その商品の仕入価格が¥13~だと判断出来ます。
しかし、お客さんも馬鹿ではありません。
毎日仕入れに通うのです、最初は解らなくても市場全体で使えば習慣でばれてしまいます。
私が入社した30年前には、殆ど使う人もおらず煩わしいので「数字で言うて」と先代に泣き付く始末。
「りーとーやから、好きに売り」と初めて売り場を任された、「り➡2と➡3」つまり、¥23~それならば¥3000円。と売値を付けたら「ぼったくり」と横で聞いていた常連からつるし上げ。
実はまさかの0が一つ少ない¥230円。
10倍以上の値を付け、「サラリーマン上がりの息子は」とまさかの大誤算。
頭の数字は符丁でもらっても当てはめる金額の位を間違ったのです。
キロ単位、グラム単位、ケース単位、1個単位、買い付け単位は様々、親方の符丁を聞いて売り子は経験則で商取引の単位と単価、物の価値を知っていきます。
慌てて駆け付けた先代である母が、「よう、ゆうて聞かせます」
「この商品はそのまま、りーとーで結構です」と尻拭いさせてしまった。
「ごめん」と謝りしょげていると、「大丈夫、あれホンマはさーりーで買ったから」「さ➡1り➡2、¥120円」まさかの息子にも鯖を読む始末。
これには、「(先代には)勝てない」「私はこの商売向いてないのか」と思った。
それから30年、紆余曲折ありましたが何とか商売を続けております。
今月、先代である奥野つる子の3回忌を終えて、ふと思い出しました。