2026/01/24 11:10
2025年12月24日、映画「ラストマン-FIRST LOVE-」が公開されました。
主演:福山雅治、大泉洋、他が出演する物語、元々はテレビドラマが視聴者に好評の為、今回の映画化になった。
福山雅治が演じる、どんな事件も必ず終わらせる最後の切り札「ラストマン」の異名を持つ捜査官が、全盲の障害がありながら自身の強い精神力もさることながら、相棒や周りの協力を得て難事件を解決するのである。
こんにちは大阪の鯨屋、奥野水産4代目:奥野良二です。
例のごとく、年始早々でまたも映画からのお話です。
「ラストマン」になりたいと申しましたが、鯨屋の私の場合は意味合いが少し違います。
私に関して言えば、「ラスト」⇒おしまい、最後、最終のニュアンスが強く。
「日本の最後の鯨屋にだけはなりたくない」と言った気持ちです。
(最後の)切り札とは程遠いのであります。
しかしながら、鯨屋にも「困難」だけは映画さながらボリューム満点であり、これまでも紆余曲折を経て孤軍奮闘してきました。
「食べた世代を残さなくては」、学校給食に鯨肉を提供しようと平成9年に決意。
その当時すでに「鯨肉の食文化」は言葉すら出てこないものでした。
深刻な(鯨肉の)食離れから、食材の選択肢の中に鯨肉は含まれていませんでした。
家業を継ごうと決めましたが、食べる人が居なければ私の代で終わる。
何より生まれてすぐの自分の子供に、家業を伝えられず終わるのは親として残念で悲しい。
家におかずで持ち帰った鯨肉を私のお皿から掴み取り、美味しそうに頬張る子供を見て、
必ず何か形で残そうと決意しました。
そこで、水産庁が設けた「鯨類処理販売基準」の中に「学校給食」の項目を見つけました。
「希少性」を謳えば年配層に高値で売れる為、業界はこぞってそこに舵を切りました。
しかし私は「(鯨肉の)食文化存続」にこだわり、採算性が低いと敬遠されがちな「学校給食」
へ真逆の舵を切る決断をしました。
その後は、「学校給食」に28年間納入を続けています。
原材料の確保、調達、加工、納入まで可能な限り、教育委員会及び栄養職員さんに寄り添い入札の購入仕様書の記載方法や鯨肉の流通の仕組み等を説明し、水産庁への申請、報告の仲介として二人三脚で歩んできました。
「鯨肉の食文化」を「時期尚早」だと「食育」とは、なかなか結び付けて頂けない等大きな壁にもぶち当たり、「話題作り」と1回きりで使用を中止「食育が中断」する事態にも陥りましたが、「大丈夫、情報が不足しているだけ」だと、「実施後の献立レシピ」「給食だより」等、児童向け資料を提供してくださり、賛同して頂ける栄養士さん、給食に携わる人達に後押しされ乗り越える事が出来ました。
シーシェパードの妨害行為で日本の調査捕鯨が撤退、大幅な減産から原料不足により鯨肉献立が実施不可能に陥り「もうだめだ」と思う事もありました。
先代:奥野つる子が「全国六大市場」より、同業者の言い値でかき集め、買い支える事でなんとか原料を調達し実施にこぎ着けました。
しかし、給食納入価格を変えずに行くと方針を打ち出し資金繰りに困る事態にも。
あれから、28年が経ち令和になり、わが子を含め児童生徒、世の中に何かを残せる事が出来ているのか今も解りません。
しかしまだ、奥野水産を営めているのは「鯨食文化の継承」が途絶えずにあると言う事なのでしょう、希望を持ち続けようと思います。
28年前とは状況が何も変わっていないと指摘を受けるかもしれませんが、奥野水産のある大阪では「(鯨は)途絶えさせなかった」、「持ち堪えたんだ」と感じて頂けたらと思います。
これからも途絶える事無く、ゆっくりと目標に向け続けていきたいと思います。
ちなみに「ラスト」には他に⇒続く、持ちこたえる、長持ちする等の意味もあります。
奥野水産は鯨屋の「ラストマン」になりたい。
そう、今年の目標にしたいと思う所存です。