2024/02/15 12:57
人気漫画「ゴールデンカムイ」にくじら汁が登場、皆が口を揃えて「ヒンナ!ヒンナ!」
2024年1月19日公開から大ヒットを記録、絶賛上映中の「山崎賢人」主演で実写映画化された「ゴールデンカムイ」。
原作となる集英社の野田サトル先生が、「週刊ヤングジャンプ」で連載、累計発行部数2700万部超え同名漫画作品(全31巻)の作中に、登
場人物たちがくじら汁を美味しそうに食べるシーンがリアルに描かれています。
こんにちは!大阪の鯨屋、奥野水産4代目奥野良二です。
実は私自身も、この作品のファンで2転3転の金塊の争奪戦の物語を楽しく拝読しております。
ヒンナ!ヒンナ!とは
しかし、私がこの作品に共感し感銘を受けたのは、原作者の野田サトル先生が北海道の「アイヌ文化」を丁寧かつ正確に描写し、「食」を
テーマにアイヌの方々の「食べる」と言う行為を、「食材に敬意を払う」「余すところなく生活に取り入れる」強い思いをアイヌ民族の生
活を踏まえリアルに描かれていたからです。
物語を通じ終始一貫して全ての「食べる」=(生きる)行為を、「いただいた命で命をつなぐ」を強く表現していて、同じ「食」を扱う者
として私はその多くの「食べる行為」を通じ、アイヌ民族の食材への「感謝の気持ち(敬意)」や「無駄にしない気持ち」が描かれている
のを見て感銘を受けました。
日本人とアイヌ民族の文化に共通してある、「鯨」の食文化が互いの「食の考え方」と密接に関係し似ている事も、私が共感して止まない
見どころの一つと感じています。
作中では、食べ物への感謝の気持ちを込め「ヒンナ!ヒンナ!」と声を上げ嬉しそうに美味しく食べるシーンがありそれを見ると、読み手
側のこちらも食べてみたい気持ちにさせられます。
「(生き物の)命」を「いただきます」「もったいない」「無駄にしない」、現在ではこの事を小学児童への「食育」の目的と捉え取り入
れる現状の中で、この作品では「食べる」と言う行為の中に絶妙にそれが表現されていると感じました。
厳密にいうと、作中のくじら汁の鯨は「シロイルカ」(ベルーガ)です。
鯨類で分類すると「歯クジラ類」になります。
鯨類は「歯クジラ」と「ヒゲクジラ」の2種類で分類され、「歯クジラ」は文字通り歯が生えており食べ物を噛んで食べます。
比較的小柄なのが特徴でイルカやシャチ等がそうです。
「ヒゲクジラ」は口の中に硬いフィンのような髭が生えており、海水を大量に吸い込み、吐き出し髭で捉えたプランクトンを食べています。
比較的大型なのが特徴で、イルカのような頭部の張り出しはなく流線形の体系が特徴です。
25メートル越えの「シロナガスクジラ」から、「ナガスクジラ」「イワシクジラ」「ニタリクジラ」「ミンククジラ」等がそうです。
クジラとイルカの違い
よく、イルカと鯨の線引きに体長4メートルを基準に、超えるものを「鯨」と表現し区別する内容を見受けますが、「歯クジラ」はどれだけ
大きくても「ヒゲクジラ」とは違います。
逆に小型の「ヒゲクジラ」でも「歯クジラ」ではないのです。
例外として、大型の「歯クジラ」も存在します。
「マッコウクジラ」や「ツチクジラ」がそうです。
これを機会に、歯が生えているのが「歯クジラ」、髭が生えているのが「ヒゲクジラ」と覚えて頂ければ幸いです。
日本が行う「商業捕鯨」は「ヒゲクジラ」が対象になります。
「ミンククジラ」「ニタリクジラ」「イワシクジラ」の3鯨種を、水産庁の資源管理下で捕獲しています。
鯨肉は現在も、高タンパク、低カロリーの優れた食材で栄養も豊富です。
最近では抗疲労成分「バレニン」を多く含む事が解り、スーパーフードとしても、注目されています。
アイヌ民族と日本人は、知らずとも「鯨」を貴重な食料として互いに「食文化」とし食べ続けてきたのだと思います。
「ヒンナ!(美味しい)ヒンナ!(美味しい)」なら当然食べますよね
日本は昨年、最新設備の捕鯨船を造船、CAS凍結の冷凍設備を備える等、最近の商業捕鯨では鯨肉の品質は格段に向上し、鮮度そのまま味
わう事が出来ます。
鯨肉のオススメの食べ方はお刺身です、「赤身(生)」を薄く切り分け、生姜醤油等をつけて頂きます。
ぜひ、皆さんにも「鯨肉」の「赤身」をご賞味い頂きたいです。
そして現在でも、皆で食卓を囲み、「美味しい!(ヒンナ!)美味しい!(ヒンナ!)」と大切な人と過ごしたかけがえのない時間が、
「特別な思い出」になると思います。
最後にこの作品には、非情で残虐で暴力的な表現が多数描かれています、その描写が逆に各々、登場人物や登場する野生動物の「生
(命)」を際立たせ鮮明にさせるのだと感じています。
「命」とそして「命をいただく」(食べる)行為を、見ている読者により鮮明に伝えてくるのだと思います。
食べるという行為を、ただの「栄養分の摂取」として捉えず「食(生)への執着」等が凄く絶妙に描かれて、アイヌ民族の文化を通じ本来
の大事なもの(事)は捨ててはいけないのだと思いました。
最後に、、、
野田サトル先生、申し訳ございません。
生意気にも自分なりの考察を述べましたが、私まだ10巻までしか拝読できておりません。
結末までぜひ、堪能させて頂きます。
それでは、今日の所はこの辺といたします。